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日常に潜む疑似科学的なことをメインに食指の動く方にのらりくらりと書いていく雑記です。
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次に防腐剤の話をしますね。
この記事は先日の
水酸化Naと水酸化Kってそんなに性質が違うの??から続いています。


パラベン類、エタノール、フェノキシエタノール、安息香酸Naなどを「問題ありな成分」としていますが、これらがダメなら何を防腐剤・抗菌剤に使用したらいいんでしょう?
ジエチレントリアミン五酢酸五ナトリウム(ペンテト酸Na)はOKみたいですが、つまりEDTAのようなキレート剤ですよね。
確かに生物が活動をするうえで酵素活性は必須であり、酵素活性のためにミネラル(主に2価の陽イオン)を必要とするものはあります。しかしキレート剤も種類によってキレートしやすいミネラルが異なりますし、そもそもそれなら微量元素が入らないようにすればいいだけの話(と簡単にいいますがそうするとミリQぐらい綺麗な水を使わなきゃいけません)なんですよね。


ただ、一般的にEDTAを防腐剤とか抗菌剤とか呼びませんよね(
そういうテストをしていないし防腐剤に認定されていない)。
5 /20追記:
ジエチレントリアミン五酢酸五ナトリウム(ペンテト酸Na)の構造と用途
および
MSDS
有害性: 眼、呼吸器および皮膚を刺激する。
刺激性はおそらく、pH2.5の液性に由来するものと思われます。
これらの刺激性が濃度やpHに依存している場合、化粧品では濃度、pHともに調整してあるので問題ありません(もちろんこれは他のどの物質にも言えます)

EDTAなどのキレート剤が入っている理由はミネラルをキレートして軟水化し製品の劣化を防ぐ目的のはずです。
そもそも、界面活性剤が入っているならほとんどの細菌は死にますよ。
それでも入れてるってことはそれとは別に防腐剤の必要性ありと認識しているからなんだと思います。


エタノールの上限は知りませんが、パラベンおよびフェノキシエタノールの混入は1%以下(0.1~0.5%ぐらいで使われることが多いみたいです)と決められています。特に、パラベンはその種類(形がちょっとずつ違う)によって対象がやや違うので上手く組み合わせることで広スペクトルの抗菌剤として使用でき、一部は食品添加物として利用されているほど安全性が確認されています。
パラベンとフェノキシエタノールについて

エタノールを使うと肌が荒れることは多々あるので、肌荒れやアレルギーは別として、これらは意図的に経口摂取しなければ極めて安全な物質だと思います。


次に、問題のない成分としてペンチレングリコールがあります。

ペンチレングリコール(1,2-ペンタンジオール)
一般的に保湿剤として入っていますが抗菌作用を持ち、パラベンと共に用いることで相乗効果を発揮するので防腐剤(パラベン、ペンチレングリコール)を減らすために有効である。

Duty-ペンチレングリコール

ですが、単独の使用量は2~5%でパラベンの10倍程度なんですね。
5%を超えると刺激性が出る場合があるそうです。

これはパラベンとの相乗効果を狙って入れている成分でしょう。
もちろん、単独で使用しても問題はありませんが、だったらパラベンが問題のある成分に分類されているのはなぜでしょう。


さて、EDTA-2Na(問題のない成分)とEDTA-4Na(問題のある成分)で何が違うのかを調べてみました。

刺激性及び腐食性(15~17ページ)

EDTA及びその塩の水溶液のおよそのpH はそれぞれEDTA(2.9)、Na2EDTA (4.4)、Na4EDTA (11.0) であり、これらの刺激性はその物質のpH と水溶性に関連する要素が大きく、又同一物質でも試験結果が異なるのは試験したサンプルの性状に由来する点が大と思われる。

化学物質の初期リスク評価(EDTA)2002年3月

EDTA-4Naの刺激性はpH11.0のアルカリ性やサンプルの性状(水溶液、粉末、ペースト)に由来すると思われるとのことですが、その通りだと思います。

実際の実験を見てみると「刺激性なし」のものは試験法「データなし(ND)」投与量「ND」ですよ。そこが一番大事でしょうに!粉末のまま行った可能性もありますよね。粉末と水溶液では異なった結果が出る可能性がありますね。
反対に刺激性ありの投与量を見てみると40%水溶液で皮膚刺激性なし、80%ペーストで刺激性あり(8日後に皮膚剥落)とあります。
そりゃそんな濃厚液なら刺激ありでも頷けますよ。
今まで不思議だったんです。
私の知る性質とかけ離れてるなーと。
EDTA-4Naの性質を知るうえでは正しい実験だと思いますが、これをそのまま製品中のEDTA-4Naに当てはめることはできません。
それをするためには製品と同じ濃度で同じpHにする必要があります。
pHの違いというのはみなさんが思っている以上に大きいのです。特に粘膜とかの敏感な部分は。

さて、EDTAは普通、そんな量を入れません。
特に、パラベンやフェノキシエタノールを配合している化粧品だとわかるのですが、1%以下と制限されているそれらの成分の前後に位置していることが多いです(1%以下は順不同でも構わないことになっています)。成分表を見ていても後ろの方に出てくることが多いですね。そもそも、40%も含まれていたら水の次に書かなきゃいけなくなります。
EDTAは普通、0.1 mMとか1 mMでその機能を発揮しますから、分子量292.25なので0.3 g/L(0.03%)入っていれば十分ということになります。つまり、1%あれば十分すぎるということです。それ以上入れるのは正直、無駄です。

またしても現実の使用量と則していない毒性が一人歩きしています。


EDTA-4Naの説明の「体の中に入るとカルシウムの利用を妨げ、血圧降下、腎臓障害を起こすと言う報告もあります。」に関してはEDTA-2Naにも書くべきです。
反対に、EDTA-2Naの説明の「ビタミンCの安定化や酸化防止、硬水軟化、殺菌作用などがある成分です。」に関してはEDTA-4Naにも書くべきです。
だって経口摂取による「カルシウムの利用を妨げ、血圧降下、腎臓障害を起こす」という疫学的な調査が行われているのはEDTA-2Naなんですから。



私は、このような網羅的な情報収集をすることに意義があると思います。
こんなにたくさんのシャンプーを使ってみることは私にはできません。
ですが、それはできるだけ正しく行われなければいけません。
正しくない安全情報があるのと、間違った危険情報があるのだったら、後者の方がマシに決まってます。だけどね、マシだから良いってわけじゃ全然ないんですよ。

一般的に、成分の配合量は企業秘密なので私たちが知ることはできないでしょう。
でも、それでもわかることがありますよね。

「パラベンやフェノキシエタノールは1%以下しか配合してはいけない」
「弱酸性溶液ではNaOHはそのままの性質を示さない」
「EDTAの配合量は多くない」
「リスクは量×毒性の強さで決まる」

これらは化粧品について調べていたら、化学物質の性質について理解しようとしたら必ずわかることです。

「配合量はわからないのだからとにかくその性質についてわかっていることを書くしかないじゃない」

というかもしれません。
いいえ。
わからないのならわからないと書くべきなのです。
このような成分を配合する理由がわからない(と本文中に何回か書かれています)のなら会社に訊けばいいんです。きっと答えてくれるでしょう。


どんなに網羅的な情報収集をしていてもその記述に矛盾があるサイトは信用できません。
正しい知識が出回っているのにそれが反映されていないと眉に唾をつけたくなります。
私はいろいろなシャンプーを使った体験談を載せることに意義があると思います。
それでも私が取り上げたくない、他者に教えたくないと考えるのは成分についての説明が間違っていることがほとんどだからです。
でもこのサイトは他のサイトに比べればずっとマシなんです。
合成というだけで「問題あり」にしてしまう人が多いなかで成分の性質で判断していますし、正しく判断している成分も多いです。

私は、このサイトが「このサイトはおすすめですよ^^→URL」と言えるほど優良なサイトになってくれることを望んでいます。きっと、これは「信用ならない」と切り捨てるよりも大変な努力を強いているのでしょう。
でも、その価値はあると思うんですね。
ゆっくりでいいのでぜひ改善していってほしいと思っています。
他にも気になるところはあったけど、矛盾と感じたのは以上の2つです。

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