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日常に潜む疑似科学的なことをメインに食指の動く方にのらりくらりと書いていく雑記です。
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このシャンプー評価サイトの、使用感とかは本当なんだろうけど各成分に関する記述にちょっと微妙なところがある気がします。
特に気になったのは水酸化Kと水酸化Naの扱いの違いです。
水酸化Kは「問題ない成分」なのに水酸化Naは「問題ありな成分」なの??
特に水酸化Naは「問題ない成分」になってるときもあるんですよね。
それを判断するためには「水酸化Naの配合量」と「水酸化Naの残留量」を知っていなければいけませんよね。
でも判定基準はそこではなく単体としての性質です。

私の理解の範囲では、水酸化Kも水酸化Naも強塩基で、顆粒や濃い溶液が皮膚につけば皮膚を溶かします(タンパク質を変性)。でもそれは「強アルカリだから」だと思うんですよね。pHが高いので極端にアルカリ性に傾きますよね。極端な酸性や極端なアルカリ性では普通、タンパク質は変性しちゃいます。細胞膜のリン脂質も普段は弱酸性ですよね。そこからpHが極端に離れれば構造が壊れちゃうと思うんですよね。

でも、シャンプーに入ってる時点で関係ないと思うんですよ。
無添加純石鹸でなおかつ鹸化が不完全(つまりおうちで作るような場合)じゃないかぎり水酸化Naなんて残りませんよね。水酸化Kは一般的に液体石鹸を作るときに使うので、これも入れすぎると残って肌を痛めそうです。
酸性石鹸でないものは普通、pH8~10で弱アルカリ~アルカリ性なので水酸化Naや水酸化Kの影響を考慮する必要があります。
ただ、普通のシャンプーはpHが4~6の間だと思うんですね(特に~硫酸アンモニウム塩は強酸+弱アルカリの塩なので弱酸塩になってるはずですよね)。pHが4~6だと、水酸化Naが入っていたとしてもその能力を発揮することはできないんじゃないかと思います。
前述したとおり、水酸化Naはアルカリ性であるがゆえにタンパク変成作用を持つので。
そもそも、弱酸性だとH+がリッチになっているのでそもそもNa+が入っていようとOH-が入っていようとH++OH-⇔H2Oで、余ったH+が優位になるのでむしろ弱いHCl溶液になる(NaClや塩化〇〇が入っていた場合)ことを心配した方がいいんじゃないかと思うんですよね。
【補足】コメントにてご指摘があったので補足しておきますね。ぜひコメントまでご覧ください。
確かにこれだと「HCl溶液ができる」と言っているように見えますね。
水酸化Naが入った石鹸でもしっかりと鹸化されていれば(ちゃんと脂肪酸塩になっていれば)水酸化Naが残らないのと同様に、塩化物(塩化〇〇)が入っても弱いHCl溶液になったりはしません。
このへんを私はうろ覚えでなんとなくそうだったな、と考えてたのですがそういえば高校生の時の化学で、

強酸+弱酸塩→強酸塩+弱酸

なんてのを習いましたね。つまり、なんらかの手違いがあって塩酸が少量入ったとしても

塩酸+炭酸Na(炭酸塩)→塩化Na(塩化〇〇)+炭酸

になるってことですね。
右側の方が安定状態なので炭酸(塩)溶液の中に食塩を入れても不変である(あるいは炭酸が遊離する)ということですね。
というわけで
余ったH+が優位になるのでむしろ弱いHCl溶液になる(NaClや塩化〇〇が入っていた場合)ことを心配した方がいいんじゃないかと思うんですよね。という記述はぜひお忘れください。
以上補足です。ありがとうございました。



で、当初の疑問に戻りますが、水酸化Kと水酸化Naって違いがあるように思えないんですよ。
たとえばpH調整をするときに、Na塩が入っているときは水酸化Na、K塩が入っているときは水酸化Kで行うのが一般的ですよね。pH調整としての緩衝液(バッファー)ならなおさらです。
だから、違いは塩の違いだと思うんですけど、私の知らない水酸化Naの危険性や水酸化Kの安全性があるんでしょうか?

MSDS(和光純薬株式会社)を比較してみても性質に大きな差があるように見えませんし、経口毒性は水酸化Naで400 mg/kg(ウサギ)、水酸化Kで365 mg/kg(ラット)、皮膚刺激性に関しては水酸化Naにはデータがなく、水酸化Kでは50 mg/24時間 重度(ウサギ)、目刺激性 1 mg/24時間 中程度(ウサギ)としてあります。
つまり、水酸化Kに刺激性がないわけじゃないです(比較は同じ動物種で行うのが理想です)。


というわけで私の結論は、違いはない、つまり水酸化Kが問題ないのなら水酸化Naも問題なしで、水酸化Naが問題ありなら水酸化Kも問題ありです。
ただ、一般に知られていないところで両者の違いが出ていないとも限らないのでよくわかりません。
とりあえず訊いてみることにします。

防腐剤・抗菌剤についてもちょっと思うところがあるのですがここで区切ります。

5/14追記:
キレート剤は防腐剤ではないという記事を書きました。

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量的な概念
お邪魔いたします。先日私のブログにおいでいただいて以来,密かに拝見させていただいておりました。

個人的には,量的な概念が全く考慮されていない時点で,こちらのページにおける成分についての記述は評価する価値が無いように思います。それにしても,この手のサイトで量的な概念を使って議論されているものをほとんど見たことがありません。どうにかして量的な概念を広める良い方法はないものでしょうか。

ところで一点だけ。「余ったH+が優位になるのでむしろ弱いHCl溶液になる」という記述はいかがなものでしょうか。確かに,古式ゆかしい塩化水素の合成法として,濃硫酸とNaClを混合して塩化水素を遊離させるという方法があります。しかし,その辺においてある水(炭酸の影響で弱酸性を示します)が,食塩を溶かしたからと言って,塩酸の性質を示したりはしないです。塩酸より弱い酸しかいない状態では,強酸である塩酸(塩化水素)は遊離できませんよね?その状態で遊離してくるのは塩酸より弱い弱酸であって,塩酸は共存するイオンと塩を作ってしまいますから。

おそらく何か別の場合と混ざってしまったんでしょうが,念のため補足させていただきました。

それでは,今後ともよろしく御願いいたします。
ぷろどおむ URL 2009/05/13(Wed)17:37:19 編集
ありがとうございます
実はこの件に関してぷろどおむさんのブログにお邪魔しようか迷っていました。
ばっさり斬っていただけてちょっと嬉しかったです(^^)

>どうにかして量的な概念を広める良い方法はないものでしょうか。

どうすればいいんでしょうね。
この概念が広がれば私がここに書くネタはほぼなくなります(苦笑)が、それは嬉しいことですね。
良い方法が見つかるまでは今のように地道に繰り返し言い続ける他はないと思っていますが、内容が正しくなくてもセンセーショナルに煽りたてている方が注目されてしまうのが当然とはいえ頭が痛くなります。

「(偽りの)危ないもの」と「危なくないもの」を突きつけられて「危なくないもの」を選択せざるをえない人がたくさんいることが可哀想で仕方がないです。
今の日本では「安全なもの」と「安全なもの」を比較してより自分に合うものを選べる素晴らしい環境であるというのになぜこんな不平等な二択を迫られるのでしょうね。


>「余ったH+が優位になるのでむしろ弱いHCl溶液になる」

適当に書いているとやっぱりダメですね。
仕事中は仕事に集中しなさい、ということでしょうか。
私もH+が多くてCl-があるだけで希塩酸溶液になるとは思ってもいないです。

実験でLB培地やPBSをよく使うのですが、pH調整に10N 水酸化Naを使います。だからといって薄い水酸化Na溶液になっていると思ったことはありません。LBやPBSと同じだけの水酸化Naが入った薄い水酸化Na溶液を触ったらおそらくすぐに手を洗うでしょうけどもLBやPBSの場合は拭きとるだけだと思います。

HCl溶液になっていると勘違いしている方がまだ救いがあるな、と思って思いつきで書いたのですが、記事を書くときに吟味しないからこういうことになるんですね、気をつけます。


>塩酸より弱い酸しかいない状態では,強酸である塩酸(塩化水素)は遊離できませんよね?

実はこの一文をあんまりうまく飲み込めません。
ええっと、
強酸+弱酸塩→強酸塩+弱酸
という公式を覚えさせられた記憶がおぼろげながらあります。つまりそういう意味ですよね。
その通りだと思います。
これを知ったときは上手く出来てるもんだな、と思ったものです。
化学は得意だったんですけど言われてもピンとこないことが多くて…。


「余ったH+が優位になるのでむしろ弱いHCl溶液になる」という記述に関しては誤解を与えないように補足しておきます。
本当は自分で吟味するのが良いのでしょうが、このように適切な補足をしてくださる方がいらっしゃると安心できます^^

ご指摘ありがとうございました。
こちらこそ、今後ともよろしくお願いします。
特に、化学物質の性質に詳しい方で経皮毒などを批判している方は少ないのでかなり頼りにさせていただいています。
むいみ 2009/05/13(Wed)20:45:36 編集
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