忍者ブログ
日常に潜む疑似科学的なことをメインに食指の動く方にのらりくらりと書いていく雑記です。
[230]  [228]  [226]  [225]  [224]  [222]  [220]  [218]  [217]  [215]  [213
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

なんていうか、エコナに関する風評が恐ろしいほど酷い。

花王、「エコナ」全製品を販売自粛 9月17日から (産経新聞-Yahoo!ニュース)
花王が「エコナ」全製品を販売自粛…発がん性がある恐れ(痛いニュース)とそのはてなブックマーク
今のところもっとも詳しいまとめ(だけどちょっと混ぜすぎ落ちつけ)↓
「エコナ」は本当に安全だったのか?販売自粛の原因である「グリシドール脂肪酸エステル」とは?(GIGAZINE)


グリシドール脂肪酸エステルの人体内での動向を観測できず、エステラーゼにより分解を受けるかもわからず、分解産物であるグリシドールがGroup2A(ヒトでの発がん性が恐らくある、実験的にはマウス・ラットで変異原性が確認されているが、ヒトでは曝露量が低く判定ができない)であること。
ワーストケースを想定した(グリシドール脂肪酸エステルが全部グリシドールに分解される)場合、グリシドールの摂取量が動物実験での無毒性量(NOAEL)と比べても250倍程度しか開きがないこと。本来ならば10000倍あるべきだけれど、その基準値から約40倍のずれがあること。
だからグリシドール脂肪酸エステルおよびグリシドールを測定する技術がないならばそれらの危険因子は排除した方がいいということ。

これを見て、ああ確かによくわからないけれどそういう危惧があり、なおかつ不純物(グリシドール脂肪酸エステル)を取り除く技術があるのならばまあ回収した方がいいかもね、と思いました。


それとは別にDAGに発がん促進作用があるのではないかと考えられていることも自体を混乱させている。
エコナが特定保健用食品として認可を受けたのは「DAGの吸収過程で中性脂肪を再構成しにくい、だから脂肪がつきにくい」ということなので、DAGの安全性に関しては見直す必要があると思う。
しかし今回の件はそれとはまったく別の問題で、まあDAGじゃないければ不純物として生成されなかっただろうから同じ問題だと言うかもしれないけれど、やっぱり分けて考えるべきなんじゃないの。

グリシドール脂肪酸エステルをパーム油以下に下げてもDAGの問題はやはり考慮すべきだと思うよ。

で、おそらく、これはエコナがトクホだったからここまで大騒ぎになったと思うのね。(「花王だから」ってのもあるかも)
これがトクホじゃないものだったら大騒ぎしないでしょ。
だってポテトチップスにだってアクリルアミド含まれてますよ、奥さん。
だけど、健康エコナは「脂肪がつきにくい」とは言ってたけど「がんを抑制します」なんて言ってないし、なんていうかネーミングがアレなところもあるけど、みなさんのエコナに対する「健康」の定義広すぎませんかって思った。


もうちょっと調べてから書く予定だけど(それまでに誰か書かないかなー)、とりあえず
部屋の掃除→ラジウムの話→エコナの話
になるので期待はしないでください。


ところで、グリシドールのWikipediaの項目は2009年9月16日に作られたのだけど、2人目のIPユーザーによって突如として「グリシドール脂肪酸エステルはグリシドールの前駆体で、胃酸などの強酸や高温で分解しグリシドールを生成する。」という記述が加えられ、それが現在の最新版まで形を変えて(「グリシドール脂肪酸エステルはグリシドールの前駆体で、胃酸などの強酸下で分解しグリシドールを生成すると言われるが、はっきりしたことは分かっておらず、また生成されても、それが体内に吸収されるかどうかも分かっていない」)生きているけど、出典が示されていない極めて怪しい内容。
最初は脚注2かと思ったけどどうも違うらしい。
出典を明示してほしいのだけど、相手はIPユーザーだし、私は編集の仕方を知らないし(少なくともいきなり消しちゃいけないってのは知ってるけど)どうしようもないのでとりあえず出典のない怪しい記述であることは書いておく。


追記:
はてなブックマークをよく見るんですが、自分のエントリがあってワロタ。

えっと、nekoluna先生が、

グリシドールはげっ歯類で発がんを起こすけど グリシドール脂肪酸エステルはげっ歯類で発がんがみられずIARCでGroup3となってることもかいてあげてー」

とおっしゃっているので書いておきます。というか確実に転載です(笑)
オレイン酸グリシジル(
Glycidyl oleate)やステアリン酸グリシジル(Glycidyl stearate)のことですね、先生!
確かにGroup3になってます。
1987年って結構古いな。IARCの報告(英文、pdf注意)
そもそもIARCで発がん性評価がされているということはそれなりに試験が行われているということですね。

現在、エコナにグリシドール脂肪酸エステルが含まれていることはわかっていますが、グリシドールに分解されているかはよくわかっていません。仮に含まれていたとして、しかもグリシドール脂肪酸エステルが全部分解されてグリシドールになってたとしても実験動物での無毒性量よりも少ない量しか摂取していません。
ただし最悪の場合を想定して発がん性物質(グリシドール)が生成されていたとすると、安全基準には足りません。
どういうことかというのは、リンク先を見てください
摂取量を考えると、NOAELよりも少ないんだけど、「MOE≦UFs」だから「リスクの懸念あり」なんです。OK?


ちくしょう、なんだかんだいろいろ調べちゃったよ。
とりあえず、特に大騒ぎするほどのことじゃないんだけど、なんかみんなが大騒ぎしてたから書いてみたよ。

拍手[0回]

PR
この記事にコメントする
お名前
タイトル
文字色
メールアドレス
URL
コメント
パスワード   Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
無題
はてぶへの応答ありがとうございました!

NOAEL、MOE、UFsの考え方はそれで正しいんですが、グリシドールの場合は遺伝毒性発がん物質なので閾値が無いと考え、一生摂取しつつけた場合に10%発がんが増加する用量であるBMDL10を算出し、その値からのMOEを算出しています。
遺伝毒性発がん物質の場合、BMDL10からのMOEが10000以上であれば、LNT(しきい値なし直線)モデルを用いた場合でも発がんリスクは10万人に一人以下となるため、10000が基準に使用されることが多いです。
今回の場合は、MOEが250程度で基準値の40倍ということなので、発がんリスクは10万人に40人以下となります。
たしかに懸念すべきレベルで、回収も妥当かもしれませんが、個人的にはそんなに大騒ぎするほどのリスクではないと考えます(一生涯の1/10年食べてても10万人に4人以下だし・・)
この発がんリスクよりも、肥満防止などの有用性のほうが上回るのではないかという気もします。
nekoluna 2009/09/19(Sat)12:21:40 編集
無題
いえ、ご指摘ありがとうございます。
報道を見てなんとなくグリシドール脂肪酸エステルはあまり調べられていないと思い込んでいたので教えていただけてよかったです。

ぷろどおむさんの記事と合わせて読んで、ちょっといい加減な考え方をしてたな、と反省しました。
特に発がん性物質の閾値なしのときの考え方をまだ完全に理解していません。
しかし今回の騒動は安易な二元論が多いこと(安全でない可能性がある→危険)、思ったよりも騒動が大きくなっていたことで、とりあえずメモ程度でもないよりはマシかと思って書いたのですが、あと1日待てばよかったです(^^;

エコナ(DAG)に関してはがん促進作用だけでなくトクホの「脂肪がつきにくい」という部分にも疑問符がついているようです。
トクホであること、なのにDAGが怪しいこと、そしてグリシドールといろいろ問題がありますが、今回の花王の対応はわりと良心的だと感じただけに、世間の反応に難しいなあと思ったのでした。
むいみ 2009/09/19(Sat)17:49:52 編集
この記事へのトラックバック
この記事にトラックバックする:
ブログ内検索
カレンダー
03 2024/04 05
1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30
最新コメント
(09/07)
(08/12)
(06/15)
(06/15)
(06/11)
(06/11)
(05/24)
(05/24)
(05/24)
(05/23)
カウンター
アクセス解析
Copyright © azure blue All Rights Reserved.
Designed by 10p
Powered by Ninja Blog

忍者ブログ [PR]